不登校政策へのアピール

2008年8月3日

私たちは、昨日、本日と二日間、ここ佐賀県嬉野に全国から約五百名が集い、不登校について学びあい、交流しあいました。毎年開催しているこの夏の全国合宿は、主として親の会がつながっている「登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク」と、主としてフリースクール等がつな がっている「フリースクール全国ネットワーク」の二つのNPO全国団体が協力しあって実施しており、すでに十九回目を数えます。子ども達の参加も百八十 名、子ども達自身の実行委員会によるプログラムをもち、楽しく交流し遊び、不登校について語りあいました。そして閉会するにあたり、アピールを発表したいということになりました。

まもなく、今年も、文科省より学校基本調査の発表が行なわれることでしょう。昨年は、五年ぶりの増加で十二万七千人になったこと、中学生は調査開始 以来の四十年間で、生徒総数にしめる割合が過去最高を記録しました。その年その年の数の増減はともかく、十万人もの大台にのぼる小中学生たちが、子どもが もつ学ぶ権利を国・社会が保障する義務教育期間に学校に行かない、行けない状態でいます。高校の不登校・中退もいれれば、学校制度と距離をとる子どもの数 は二十万人近いといえます。

この状況に対し、二〇〇三年、「不登校問題に関する調査研究協力者会議」にもとづき国の方針が出され、ここ五年全国的に、学校復帰を目指す政策が強 められました。「不登校ゼロ作戦」や「不登校半減政策」など、登校圧力が強まった地域は全国各地に及び、新潟では十三家庭に督促状が出されるなど、子ども や親の気持ちを無視した学校復帰への対応がとられてきました。

私たちは、全国の経験から、学校復帰を当然視する考え方と対応が、不登校の子どもやその家族を、どれほど追いつめたか、また不登校はあってはならない存在と見られ、どれほど自分でも罪悪感やひけめに苦しんだか知っています。

体の不調、ひきこもり、家庭内暴力、神経症、自傷行為、無気力に見える生活も、これらの状況と無関係ではありません。一方、休むことの大切さを理解 し、不登校の子どもの今を受け止め、家庭を安心できる場とし、子どものニーズにより、学校以外のフリースクール・居場所やホームエデュケーションなどを活 用して自立していった子も、かなりな数にのぼります。

これらを考えると、学校だけが成長の場ではなく、多様な成長のあり方が認められる必要があると考えます。また、学校外で子どもの育ちを自発的に支え てきたフリースクール・居場所には、いまだ公的支援がありません。そして高等部の子どもたちへの通学定期も適用されないなど、多くの経済的困難や不利益を 抱えています。

幸い、本年五月、「フリースクール環境整備推進議員連盟」が超党派で立ち上がり、まずは高等部通学定期の適用実現にむけて、精力的な取り組みがなされ始めました。

私たちは、このことを大きく評価し、これを機会にさまざまな不登校の子どもの権利前進と、親の会やフリースクール支援が行なわれるよう期待しています。

また、これらの取り組みと共に、この国が長い間とり続けてきた学校復帰を前提とする不登校政策を見直し、真に子どもの最善の利益に立ち、子どもの気 持ちや意志を尊重し、学校外の多様な選択も保障していく政策への転換を求めます。このことが、今なお私たちが苦しめられている、不登校についての世間の誤 解、偏見、差別をも変え、社会からの疎外感・孤立感や不信感も変えていくことにつながりましょう。

今日、青少年・若者の刺傷事件が続いていますが、この陰に、幼稚園・保育園、小中高校時代に本当に一人の人間として大切にされないまま育ち、自己存 在への否定感を抱え、なおかつ格差的な就労構造の中で生きる価値を見失い、やり場のない思いが一挙に事件につながる姿を感じます。

その上、昨今の教育政策は、子どもをますます成績競争にあおり、遊びや休息を奪い、ストレス化する方向で、子どもにのしかかってきています。これでは学校に苦しんで不登校になる子が後を絶たないでしょう。

子どもが学校でも家庭でも安心して育ち、自他をかけがえのない存在と感じ、未来への希望をもって生きていけるような不登校政策の実現を心から要望いたします。

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